コロナ禍の中、部屋の片付けをちまちまやっている中でふと見つけたBONカセット。



2017年12月にブックオフで見つけて、もうカセットは使わないけど54円だし未開封のBONだしと言い訳しながらレジに持って行ったなあ。

ネットもスマホもクラウドも無い昭和50時代。当然radikoなんて存在せず再放送もないラジオは自分で録音しないと残らないコンテンツでした。それを残すには大量のカセットテープが必要になります。そんな夢を「低コスト」(ここ重要!)で叶えてくれたBONカセット。

当時国産カセットテープ1本が400〜500円した時代に100円という価格もさることながら、価格相応な低品質のためみんなの記憶に深く刻み込まれたBONカセット。

音質も悪く音ムラがありテープも伸びヘッドを汚ししまいにはメカに巻き込まれて、最終的にはゴミとなってしまうBONカセット。

結局どこの誰がどういう流れで製造して流通させていたかがよくわからない。それがBONカセット。(コスモスの自販機ですら解明されているのに)

とはいうものの私が育ったところではBONカセットを売っているところは多くなく、売っていても当然激安価格だったため逆に品質は大丈夫か?と不安になってしまい、ノーブランドの安売り国産カセットテープを選んでおりました。

当時、国産というだけで安心して買っていたナガオカブランド(住友スリーエムのOEM)のカセットだけは最近再生してみたら走行中に異音がするなど品質に疑問があったのを思い出しました。オープンリールテープの206事件(*1)で信頼を失ったのかわかりませんが、住友スリーエムは大手他社に比べ早い時期に磁気テープ事業から撤退しております。
(*1:206事件とはプロ用マスターテープの#206でバインダが加水分解を起こしてベトベトになり再生できなくなってしまう事象が多発し業界騒然となった問題のこと。廃棄されたマスターテープもあると噂に聞きました。)

アメリカ本国のスリーエムで1インチオープンリールビデオテープの上リール内に薄いスポンジをくっつけたモデルを出し、早巻きの時にムラなくキレイに巻ける事を売りにしていましたが、その後このスポンジが加水分解を起こしてベトベトになり問題になったというのがありました。しかも磁気テープ自体に問題はなく加水分解したスポンジがビデオテープのエッジにくっついてしまうのが厄介だったというオチでした。加水分解って怖いなあと思ったものです。

記録メディアの加水分解が認識された現在では高温の環境に時間をかけて置き水分を飛ばせば良いという対策も確立しております。

さてBONに戻って、背中に小さく400円と価格表示があります。正価400円もしたんだ。

BONカセットでテープがベタベタになるってのは聞いたことがないので、それはそれでまともだったのではないかとさえ思ってしまいます。