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ARIA The Naturalが終わりました [TVアニメ&まんが]

久しぶりにいいものを見させて貰いました。自分の琴線に触れ、原作まで遡って見るようになった作品というのは本当に久しぶりでした。

そもそも今流行の萌えやSF的なものから全く遠縁であるこの作品の企画がよく通ったと思います。メカや武器も出てこないし、萌え~なシチュエーションというのもないし、愛や恋に翻弄されるという事もない。つまり物語的に隙間が多い。でもこの隙間の多さがARIAの魅力なのだと思います。それ故に癒し系といわれてしまう訳ですが、この癒し系という言葉は嫌いです。何か良い言葉はないでしょうか。

やさしいけど時々厳しい。不思議な出来事が時々起きる。ただバイオレンスは無い。ひとつの話には起承転結はあるものの大きな流れで見るとそれほど大きな起承転結はない。ハードルを越えた成功によるステップアップってものもない。要は市居の人たちの生活のドラマなんですよね。舟漕ぎ、火や重力の番人、運送屋、郵便屋、引退した先輩の舟漕ぎ、そして忘れてちゃいけないネコ。これらのキャラクターが絡み合って普通でありながら素敵で気持ちのいいドラマが起きていったのです。

予算の少ない深夜アニメにも関わらす、通常ありがちなフォーマットに背を向け、OPは毎回画が違う、前CMを止める、OP・EDの曲も話数によってアナザーテイクを使う、予告はトリキリ5秒、提供バックやエンド5秒の画は毎回違う、など細かいところにこだわるあたり、ARIAの世界の構築に気を使っている制作側の想いが見えてとても気持ちよかったです。でも定型通りにしなかったことはさぞ大変だったでしょう。

さて、今回は第6巻のスノーホワイト。そもそも原作は小品でありますがアリシアについての数少ないネタです。小品ゆえこれを動かして音をつけて25分の長さにするにはいろいろ話の実をつける必要があるわけで、雪だるまは一つだけ転がしつつも人との関わりをふくらませ、灯里とアリシアの関係を再確認し、灯里のプリマへの予感を見せてフィナーレ。盛り上げすぎずいつもの温度で綺麗に最後を締めくくりました。
エンディングのBG(背景)はお気づきですね。過去使ったシチュエーションの舞台です。この画の場所が何話などと野暮な事は言いませし、見ていれば分かるでしょう。こういう細かいサービスがファンとしては嬉しいのです。

苦言と言えば、ARIAだけではないのですが作画のレベルが総じて高くなかったのが残念です。現実問題として京アニのようなクオリティをすべからく取れる訳ではなく、ましてやサトジュンさんはハルフィルムメーカーの役員なので会社の利益も考えなければならないという事情もあるので大変だと思います。
余談ではありますが、会社の先輩がやっている番組の企画(アニメではない)を横で見ていて、物事は思うようにいかないというのをまざまざと見せつけられました。それは金銭的、時間的、人間関係、会社間の事情、集団作業の意思疎通のムラなどなどいろいろ障壁はありました。事情を聞いていると解決できるものと出来ないものがあり、非常に政治的な判断をする場面もありました。ようやくそれらをクリアして万全を尽くしたつもりでも、出来上がったものに対してリアクションは思った程ではなかったり、作り手の思いと違うところで受けていたりと実際に物事は簡単に進みません。

実はアタシは原作原理主義だったのですが、しばらく考えてみるに原作を忠実に再現するのは難しい、ましてや漫画の筋書きをそのまま動かすなんていうのは無理な話なのだという結論に至りました。例えば最近ではナントカ戦記なんてものもありますし(比べるな、笑)。そもそもアニメにはアニメの事情というのがあります。漫画とアニメで時間軸の扱いが違いますし、自由にコマ運びが扱える漫画と違い制約のあるテレビのフレームは自ずと表現方法が違ってきます。これはARIAパーフェクトブックの天野&佐藤対談でも出て来ています。ましてやTVアニメは制約が多いので作り手もそれなりの妥協をしている筈です。それを含んだ上で楽しむのが真っ当なオタクの楽しみかたなのでしょう。だからARIAのアニメが原作と違うと言って文句をいってみてもそれは当たり前なのです。個人個人抱いているARIAのイメージは別々なのですから。ですから漫画とアニメは生き写しではなく親戚だと見ておくと納得して見ることができるのではないのでしょうか。
話が乱れっ放しです。

ともかく、これでARIAのアニメはおしまいです。後CMが終わってエンド5秒のトリキリのスーパーに、
「いつかまた水の惑星でご一緒しましょう。」
の文字が。
あぁ、本当に終わっちゃったんだなぁ。ありがと。


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