SSブログ

8トラック?いいえ、カートです、AA型カートリッジマシンです。 [ラジオとテレビ]

Wikipediaで8トラックの項目を見ると業務用途の記述がありますが詳しく書かれていません。

昔の話で恐縮ですが、15年ほど前の仕事場にカートリッジのマシンがあって使用に供されていました。
カートと呼ばれていたその機械は興和製で、アナウンスレピータ(略してアナレピ)と名前が付いていました。もちろんモノラルで19インチラック4U(16cm程度)の高さがあり、グレーの渋すぎる色が古さをよけいに引き出してくれました。
このマシンは単装填(カートリッジを1本しか入れる事ができない)なのでイレギュラーな提供コメントや、コメントベース番組の送り出し専用でした。一日に数多く流れる提供コメントは主系統のオープンテープに一本化され、キュートーンによる停止制御がされていました。実際はこちらがメインでした。
朝の素材準備時にカートリッジを装填しPLAYボタンを押すと再生が始まります。本体のモニタスピーカのアッテネータを上げて正常に再生されているか確認して放っておけば、頭出しポイントを過ぎた所で自動的に停止し頭出しが終わります。後はオンエア制御がくるのを待つだけ。送出が終わったことを確認してカートリッジを引き抜き、素材箱に戻しておしまい。
このテープは先述の8トラックとは違う物で、ハーフは上面が透明で下面がグレーのプラスチック製。ピンチローラがカートリッジ側に無く本体側にあるため、カートリッジにはこれを入れるための穴がありました。テープは磁性面が茶色のローノイズテープで裏面は真っ黒のグラファイトがバックコートされていました。長さは15秒から15分程度をよく見ました。
音質はお世辞にも良くなくf特は上が10kHz前後で、ローノイズテープですので盛大にヒスノイズが出ました。しかも末期はマシンをメンテしていないせいかワウフラが大きく、音楽だと揺れがわかるほどでしたが不思議と壊れませんでした。質実剛健な時代の機械です。

仕事場で見る前から路線バスのアナウンスシステムとしてよく見ましたし、大型で長時間のカートリッジを使うものはデパート等のBGM演奏装置に使われ、松下通信や東亜特殊無線(いずれも当時)などのカタログにフィディリパック形と記述があったのでこれが規格の名前だと思っておりました。
アメリカではラジオのジングルやCMの送出用に使われていたそうです。過去、NHKでは海外向け短波放送の番組送出用に興和のカートシステムがあったのを写真で見た事があります。ラックマウントされた数十台のトランスポート部にカートリッジが差し込まれ、上位コントローラの制御で自動送出されていたようです。

日本ではモノラルの時代から興和が、後にオタリも加わった2社が製造していました。当時オタリは「質実剛健」なデンオンよりもスマートでFM局を中心に6ミリテープレコーダのシェアを広げていきました。アナレピもそんな需要から来たものでしょう。余談ですがオタリは松下のモータを使ってターンテーブルを発売していた事もあります。皿回しと言えばデンオンと松下通信の天下でした。

そんな事を思い出していたら、つい懐かしくなり”フィディリパック”で検索するとノイズの中からいくつかヒット。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/8656/
うわ、個人でアナレピ持ってる人がいるんだ。すげー。あのカートリッジはコンレー型って言うのか。ほー。
オタリのこのマシンはラジオ局で提供コメントや短い番組の送出に使われていたんだと思います。現在ではほとんどの局がサーバ送出に切り替わっているのでアナレピを使っているところは皆無に等しいでしょう。MO/BWF-Jのフォーマットも実用化されてますし。

こういうスレッドもありました。8トラックに混じってフィディリパックでリンクが。
http://domo2.net/ri/r.cgi/av/1076426624/n

たぐっていくと詳しいサイトがありました。
http://www.jimprice.com/prosound/carts.htm
フィディリパックってのは規格名じゃなかったのね、ブランドだったのね、カートリッジはtypeAorAAっていう名前なのねと驚く事しきり。さらに本体やスペアパーツ、テープまで今だに売っている。イレーサ、スプライスファインダ(接合部発見機ですな)などの周辺機器やトラブルシュートまである。日本よりも物持ちがいいのねアメリカ。

カタログが家にある筈と思って発掘したらオタリだけ見つかりました。最終ページには1992年11月の日付が。この時期はマルチテレコがアナログからデジタルへの移行期で、2インチアナログのMTR-100Aとデジタル(PDフォーマット!!)のDTR-900が並んでいます。
その隅っこに小さくたたずむCTM-10カートマシンとBPL-10Cレコードプレーヤを載せておきます。


そいえばこのオタリのカタログは5年ほど前にK崎さんから頂いたものでした。K崎さん、生きているかなぁ。

興和は1980年頃のものがあるのですが、捜索場所がオタリより奥深いので見つかるか心配です。確かモノラルカートや多装填カートがあったと覚えています。


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 1

kureha

はじめまして、グーグルでコンレー型を検索してたどりつきました。
まさか私の書き込みと、たまに行くサイトがこちらで取り上げられているとは
予想外でした。数少ない8トラ・4トラ(muntz Stereo-pak)動態保存オーナーの一人です。
4トラカートリッジで今時のJ-POPを聴くのもなかなかオツなものです。
昔は数多くの放送局放出品が秋葉原などに出回り、VTR関連では色々買ったものですが、何故かアナレピ関連機器やテープは見たことがありません。「特殊なため需要がない」と言うだけで廃棄されていたとしたら大変勿体ない話です。現在では空カートリッジの入手さえ国内では大変困難な状況ですので。
by kureha (2006-10-29 23:10) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

あ、ここはワタクシzenの個人的なblogで、書いている内容などは所属している団体とは何ら関係ございません。今の時代いろいろありますもんで、一応。ブログを作る(無料) powered by SSブログ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。