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「こま撮りえいが こまねこ」はとてもこま撮りされているとは思えない [アニメーション]

昨日見た映画
「こま撮りえいが こまねこ」(於:シネマライズ渋谷)

覚えておられるだろうか。「画コンテの宇宙-イメージの誕生」という展示が東京都写真美術館で2003年に開かれていたことを。そしてその隅で「こまねこ」というアニメーションの撮影が実際に行われていたことを。しかもこの撮影ブースは壁こそあるものの覗き穴が開いておりいつでも覗くことができたのだ。中では本当にこまちゃんの家のセットを前にアニメーターの方が淡々と撮影していたことを思い出す。ランチボックスで動きを確認しながらアニメーターが「はい」と言うとシャッターが押されカメラが軽く音を立てる。この繰り返し。静かだが実に濃密で緊張が走る空間であった。(ついでにバカなカップル客が携帯のフラッシュを焚いてブース内の写真を撮り、スタッフが慌てて飛び出して注意するという現場に居合わせた事も思い出した。バカップルのリテラシーなんてそんなもんよ~)

これが"アニメーションを作るねこ"こと、こまねこの最初であり、気が付くと長編になって劇場で公開することになっていました。新聞に合田さんのインタビュー記事が載っていなかったら危うく見逃すところだった。やばいやばい。

一番最初に作られた「はじめのいっぽ」、続く「こまねことラジボー」が短編、そして今回メインの中編「ほんとうのともだち」が人形で。これに挟まる「カメラのれんしゅう」とラジボーのたたかい」はレリーフで作られている短編。つなぎにはドローイングののショートピースが流れます。(どーもくん特番に構成が近い)

どーもくんから言えることなのだが峰岸さんの動きの付け方ってのは本当に上手い。とても自然で綺麗に動いていて、もうそれだけで幸せになってくるのだ。なかでもラジボーの話に出てくる、ももいろとロボットのダンスは凄いの一言に尽きる。もちろん見ていて動きに全く違和感がないのだ。CGの様に数字だけで動かしている以外の何かがあるようでとても不思議なのだ(決してCGの悪口を言っているのではない。CGイメージが単純なコストダウンだけに使われることに疑問を覚えるのだ。誤解無きよう)。間を作るのが上手いのだ。
ちなみに峰岸さんはチェコのトルンカスタジオに行った(日本人であとは川本喜八郎大先生のみ。アジアでトルンカスタジオに行ったのはこの二人を含めて七人いると聞いたことがあります)事のある人で技術力には高い評価があるというのはアニメーション好きなら周知の事実です。

お話は、合田さんのほんわかした路線。どーもくんの流れを汲んでいるとっても平和なストーリーです。元々はCMの人なのでちょっとした所作や仕種などキャラクターにつけるのがこれまた上手い。親子そろってドライバーを回すくせのあるラジボー親子、全てのキャラに共通する玉のように流れる汗がキャラクターの気持ちを増幅させ面白くていい。余談だが前述の展示ではこの人の画コンテ(この時はどーもくん)が展示されていたが、これだけ読んでも面白い。イメージが的確にしかもユーモアを交えて書き込まれている。それをアニメートさせていく訳だから面白くならない筈がない。キャラクター商品ももちろん結構だが、この人の画コンテをちゃんと見る方法はないかねぇ。

スタッフロールを見るとびっくりしたことがいくつかある(名前は敬称略)。アニメーターは峰岸裕和と大向とき子のお二人。レリーフのアニメーターが野原三菜(伊藤有壱の奥さん、の筈)。人形関節が小前隆(真賀里文子から"名人"とまで言われた業界では有名な人。こういう人がクレジットされることは製作側の姿勢が見えて気持ちいい)。そしてミキシングエンジニアにはMick M.Sawaguchiとある。アニメーション好きにはなじみがないだろうがこの人は(人違いでなければ)沢口真生(まさき)という人で、NHKで長い間音声を担当し現在は退職してパイオニアに在籍しているサウンドエンジニアです。古くから放送業界にサラウンドを普及させる活動を積極的に行っており業界では非常に有名です。またプロデューサーの松本紀子はプチプチアニメ(NHK)のプロデューサーをやってた人(な筈。間違っていたらすみません)。知らなければ見過ごしてしまうんだけど。

音声はドルビーデジタル。ちなみに上映中スクリーンのカットマスク(遮光幕)はビスタサイズに広げたままなのに本篇は全てスタンダードサイズ。でも別段気にならず。

とにかく人形アニメーション好きは見に行くべき。本当に凄いから。東京以外でもワーナーマイカル系で公開されるらしいのでそれまで待っても損はないと言えます。特に小さなお子さんのいるのなら。そうじゃなくてもバカなカップル以外にはおすすめです。(昨日行ったので)月曜夕方5時に観客10人は寂しすぎるけど、平日なので仕方がないか。今度は土日に行ってみよう。


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