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封印歌謡大全とルンペン節 [ラジオとテレビ]

先月TBSラジオ(ローカル)で放送された封印歌謡大全という番組のSS(サウンドステッカー、他局でいうジングルの事)で使っていた曲は「ルンペン節」の伴奏部分。歌そのものは「♪スッカラカンの空財布 でもルンペンのんきだね」という歌詞なので放送するのは今後も不可能だろう。お満の方やインカ帝国と同様に。(インカ帝国は久々の新譜。何とiTunesストアで売っているのでみんなで買おう!そしてこっそり歌おう)
本筋に戻して、それにしてもなぜこの曲を使ったのか。担当者の趣味か、洒落っ気なのか。に、してもマニアックすぎる(笑)。放送できない曲はまだまだあるんだよという裏メッセージは考え過ぎというものだろう。
この番組、ネットでも騒がれていたが、このSSに気付いた方はいたのだろうか。少しググって見ましたが、記述は見られないので残念。
ただ、ルンペンという言葉だけに過剰に反応するのではなくて、四番の歌詞の「♪(前略)金があっても白髪ははえる お金持ちでもお墓はひとつ 泣くも笑うも五十年」という部分はいろいろな意味で考えさせられる詩(うた)だと思うのです。言葉狩りでこういうニュアンスも一緒に消されてしまうのは残念。

さて、このルンペンという言葉。一昔前なら乞食、今ならホームレスと言い換える事が出来るだろう。ただし細かいニュアンスは差異があることに注意。
Wikipediaでルンペン>ホームレスに飛びます
Wikipediaで乞食

二昔前は制限がかかった言葉では無かった。かのザ・ドリフターズの8時だョ!全員集合ではルンペンコントがかけられていたし、新聞の番組解説でもルンペンという言葉が使われていた事を覚えている。

さて、この「ルンペン節」という歌。Webで調べてみると大変面白いことが出てきた。とは言うものの、あまり知識の無いアタシにとって面白いだけで、懐メロマニアには既出な事なのかもしれないが野暮を承知で書いてみる。
歌手は徳山璉。これまでアタシは「れん」と読んでいたがこれは大きな間違いで、正しくは「たまき」だそうだ。アタシ同様に間違えているページもそこそこあるし、ネットのCDデータベースですら間違っていた。またこの璉(たまき)という文字はOSによって見えない文字らしく、トーフになったり、仮名や合字を作って逃げているページもあった。最近のOSなら大丈夫でしょう。
何よりも驚いたのが作詞が実は西條八十で、柳 水巴ってのは彼の変名だった事。こういうコミックソングを本名で出す事にまだ抵抗がある時代だったのだろうか。いろいろ興味深いが、西條八十の小説を吉川大先生(無論ホメテナイ)がお書きになっているので、読みたい時は本屋で買わずに図書館に行こう。

この歌は昭和6年、帝国キネマの映画「ルンペン熊公」の主題歌として発売された。手元にビクターレコード昭和9年総目録がある。今は無き上野文庫で随分前に買ったものだが、改めて見たらしっかり載っていた。
 レコード番号:51955
 曲目:ルンペン節 (柳 水巴詞、ビクター文芸部曲)
 (帝キネ特作映画「ルンペン熊公」主題歌)
 演奏者:徳山 璉 (合唱付・管弦楽伴奏)
片面は同じくルンペン熊公の主題歌で「エンコ節/藤本二三吉」詩、曲も同じ。

その後昭和9年に再吹き込みされて再発。A面は「さくら・さくら」。
 レコード番号:53113
 曲目:ルンペン節 (柳 水巴詞、松平信博曲)
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m37981967(ヤフオクの画像よりSP盤のレーベルのアップ)
残念ながらこちらは昭和9年の総目録に載っていない。昭和9年とは言っているものの昭和8年12月発売分までの収録と注意書きがある(総目録はこういう慣習があり、当年に発売される新譜は数回出される追補版で補完される)ので仕方がない。
映画のクレジットが外されているのはわかるが、作曲が個人名になっていますが何かあったんでしょうか。また、昭和6年盤にはあった合唱の表記が無くなっています。今現在CDなどで聞く事の出来る音源に合唱は入っていません。という事は新録された昭和9年盤をリレコしたと思われますね。

ちなみにアタシが持っているのは「オリジナルSP原盤による 昭和の歌謡コミック・ソング集」(VDR−1048 1985年6月21日発売 3200円)です。ほとんど廃盤になっているようなのですが中古を探せばあると思います。

またいろいろ調べてみたいと思う。


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コメント 3

荒川光線

はじめまして。
「ルンペン節 主題歌」で検索したら、ここにたどり着きました。

その「ルンペン節」は、私が高校生の頃ですから30年ぐらい前のことですが、NHKラジオ(確か第1)の「ニッポンのメロディ」という番組で流れていました。
私は、この歌をNHKラジオで知りました。

つボイノリオの「金太」「お万」などは、すでに放送できなかったのですが、「ルンペン節」は、当時は放送できていました・・・と、いうより、なぜ放送できなくなったのか、不思議でなりません。

それでは、またいずれ、お会いするかもしれませんので、そのときはよろしくお願いいたします。
by 荒川光線 (2008-03-30 23:28) 

zen

半月程たってのコメントなのはどうよ、ってのは置いといて(笑)。
確かにルンペンという言葉はダメになりました。
ちびまるこちゃんのお陰でちびという言葉は普遍的なものになりました。
そして最近驚いたのは、こびとが使えるようになったみたいです。
言葉はいろいろ動いていることは事実のようです。
仰る通りルンペンは何故放送できなくなったのか。その理由はと聞かれると、こちらも言葉に詰まります。
圧力をかける側とかけられる側との攻防?行き違い?があるのかもしれません。
そう言った次元では放送禁止歌(森達也著)は参考になる本です。文庫化されています。
それでは。


by zen (2008-04-14 03:36) 

NO NAME

こんにちは。ルンペンが目の敵にされている言葉とは今の今まで知りませんでした。
藤本二三吉の「エンコ節」は大好きで、今日も車中で聴いていました。
by NO NAME (2013-12-22 19:21) 

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