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屋根裏のポムネンカ、さっそく見てきました [アニメーション]

ユーロスペースで今日が初日。しかもサービスデーなので入場料1000円。もちろんオチは申しません。

イジー・バルタの新作長編。キッチュでガラクタなキャラクターたちがよく動く75分。一般的な本篇では中篇なのですが、人形アニメーションでは充分長篇の部類です。17時の回に入ったのですが思っていたよりもお客さんは少なめ。もしかしたらこの時間が半端だったのかな。

バルタの持つ独特なキッチュさとガラクタ的な感覚とそれらが動く映像は、人形アニメーションの好き者にとってはたまらないものがあります。バルタの他の作品、例えば「見捨てられたクラブ」や「笛吹き男」にあるような空気感をやっぱり感じます。しかもアニメートが非常に安定しているのが見ていてとても幸せ。他のアニメーション素材とコンポジットされていたり、水や火の素材が面白かったり。特にたき火のアニメートは見ていてへぇー!と思ったくらい。こういう細かいところを見てしまうのがアニメーションの面白さの一つでもあります(人形アニメーションで火や水に動きを付けるのは難しいので)。

映像を見てわかったのですがやっぱりチェコの味がするんですね。可愛いだけではない人形ももちろんそうですし、美術もそう。小道具に始まって背景にそびえ立つ大道具(多分現物は相当大きいと思うので)も実によく出来ていているので、スケール(縮尺)の矛盾に気がつかないくらい。

物語はさらわれたポムネンカをみんなで助けに行く、というおはなし。舞台は屋根裏部屋。実はこの世界の仕組みが頭に入るまで少々時間がかかったんですが、入ってしまえば理屈が抜けて異質な世界を楽しむ事が出来ると思います。どうなるんだろうなーと思いつつもニコニコ見てしまう、そんな感じでしょうか。時々キャラクターの立ち位置が定まっていないものもありましたが、そういうものは定まっていないだけあって最後には消えてしまったようです。ですから振り返ると一部でやや甘い感じもあるような気がしたり。

この舞台の屋根裏部屋がどのくらいの大きさか、どのような世界なのかがはっきり示されていないのはあえてやっているのではないかと思います。というのは途中で下の階から老婆と孫であろう女の子の二人が洗濯物を干しに来るというシーンがあり(余談だがこの子が非常に可愛い)、ここでアイレベルでの屋根裏部屋が写ります。それでもその全景やどういう屋根裏部屋かという事はわかりません(物語後半でようやく一部がわかってきますが)。
たぶんこれがはっきりわかってしまうと、物語に奥行きが出なくなるからであり、元々人間達の気がつかない世界なのだからはっきりさせる必要もなかったのでしょう。

もちろんハリウッド的なヒーロー役は居ませんし(強いていえば粘土のシュプルト? )、派手なアクションもありません。だから正義の押しつけもありませんし、説教臭くもありません。
むしろ印象に残ったのは、ポムネンカ達の普段の生活ぶり。これらのシーンが実に平凡でありながら実に平和で。こういう設定を考えている瞬間っていうのはクリエータでも子供でも関係なく、最高に楽しい時なのではないか、そう思います。面白いよね、そういう所をあっさりと映像にしてしまうんだから、チェコのアニメーションってのは。

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